36歳で住宅ローンを完済した日。嬉しいはずなのに、少し拍子抜けだった
私は36歳で住宅ローンを完済しました。プロフィールにも書いている事実ですが、その「当日」のことはあまり書いてこなかったので、社畜の実感として残しておきます。
完済の日は、驚くほど地味だった
繰り上げ返済を重ねて、残高がついにゼロになる日。映画のような感動の場面を想像していましたが、現実は拍子抜けするほど事務的でした。
手続きは淡々と進み、書類に判を押し、残高ゼロの確認をして終わり。帰り道、「ああ、終わったな」という静かな感覚だけがあって、万歳三唱のような高揚感はありませんでした。何年もかけて登った山の頂上は、意外と平らな場所でした。
でも、その夜に家計のアプリを開いて、毎月の返済欄が消えているのを見たとき、遅れて実感が来ました。来月から、この金額は出ていかない。肩に載っていたものが、音もなく降りた感じでした。
完済後にやったこと
返済していた分のお金は、「浮いたから使う」にはしませんでした。そのまま、家族の積立の方へ回しました。支出の形を変えただけで、家計の緊張感は維持する。これが、ローン完済後に生活水準が膨らんでいくのを防ぐ、私なりの工夫です。
よく「繰り上げ返済より投資の方が得か」という議論があります。理屈の上では、低金利で借りて運用に回す方が有利な場面もあるでしょう。ただ、私が完済して得た一番大きなものは、利回りの差額ではなく、「会社を辞めても、しばらく家の心配はない」という心理的な身軽さでした。
この身軽さは、数字に換算できません。でも、激務の中で理不尽なことがあっても「まあ、最悪辞められる」と思えるかどうかは、社畜のメンタルをだいぶ左右します。借金がないという状態は、会社に対する小さな交渉力なのです。
若い頃の自分に言いたいこと
完済できたのは、若い頃の自分がボーナスのたびに繰り上げ返済に回していたからです。その頃の自分は、金利の仕組みより残業代の計算に詳しい、ただの社畜でした。
それでも、やっていたことは単純です。収入が増えた分だけ生活を広げず、余りを返済と積立に回し続ける。派手な節約術も、一発逆転の投資話もありません。地味で、退屈で、でも確実に効くやり方でした。
完済から数年がたち、資産は1.7億円になりました。次の目標は5億円と、また遠い数字を置きました。ローンの残高をゼロにした経験から言えば、遠い数字は「毎月の地味な繰り返し」の先にしかありません。社畜の資産形成は、結局そういうことの積み重ねでした。