企業の配当が原資の米国高配当ETFを比べてみた:SCHD、VYM、HDV、SPYD

高配当の米国ETFを調べました。今回は「企業の利益と配当が原資」のタイプだけを取り上げます。分配金の中身が、組入企業の払う配当金。仕組みとしては一番素直な形です(原資がオプションのプレミアムになるカバードコール型は、別記事で分けて書きます)。

私自身は個別株で配当を受け取る形を続けてきましたが、銘柄選定を丸ごと任せるETFだと何がどう違うのか。一度、数字を並べて確認しておきたくなりました。

4本の顔ぶれ

代表的なのは SCHD、VYM、HDV、SPYD の4本です。同じ「高配当」でも、銘柄の選び方がかなり違います。

SCHD(Schwab)は、10年以上配当を続けた企業の中から、財務の指標(キャッシュフローと負債の比率、ROE、配当利回り、過去5年の配当成長率)で点数を付けて上位100社を選ぶ設計です。利回りの高さだけでなく「そもそも稼げているか」を見るので、危なっかしい高利回り銘柄が入りにくい。経費率は年0.06%。30日SEC利回りは3.18%(2026年10月20日時点)でした。

VYM(Vanguard)は対照的で、予想配当利回りが平均を上回る大型株を広く買います。組入は約605銘柄(2026年6月末時点)と桁違いに多く、経費率は0.04%と最安水準。ただ、広く買う分だけ利回りは2.35%前後と控えめで、最大の組入銘柄は半導体のBroadcom(7.3%)です。「高配当ETF」と聞いて思い浮かべる顔ぶれとは、少し違うかもしれません。

HDV(iShares)は約75銘柄と絞り込み型で、Morningstarの「経済的な堀(競合優位性)」と財務の健全性の審査を通った高配当株を集めます。比率の付け方も独特で、利回りではなく配当金の支払総額で加重するので大型株寄り。Exxon Mobilが9%超、セクターでは生活必需品とエネルギーが半分以上を占めます。経費率は0.08%。SEC利回りは3.51%という数字を見かけますが、これは第三者サイトの掲載値で、運用会社の公式ページでは直接確認できていません。

SPYD(State Street)は一番分かりやすい設計で、S&P 500の中で配当利回りが高い上位80社を均等に買う。それだけです。財務の質の審査はありません。その代わり利回りは4本で最も高く、30日SEC利回り4.71%(2026年9月30日時点、運用会社ファクトシート)。経費率0.07%。組入にはREITが含まれていて、不動産セクターが約4分の1を占めます。

並べるとこうなります(利回りは時点と定義がそろっていないので、目安として見てください)。

経費率 SEC利回り 銘柄数 選び方
SCHD 0.06% 3.18%(10/20) 約102 財務の質で採点
VYM 0.04% 約2.35% 約605 利回り平均超えを広く
HDV 0.08% 3.51%※ 約75 堀と財務の審査
SPYD 0.07% 4.71%(9/30) 78 利回り上位を均等に

※HDVは第三者掲載値(公式ページで未確認)

利回りの順番と、選定の厳しさは逆

並べてみて面白かったのは、利回りの高い順(SPYD>HDV>SCHD>VYM)と、銘柄選定の厳しい順がほぼ逆になることです。

SPYDのように「利回りが高い順に機械的に買う」設計は、株価が落ちて利回りが跳ね上がった企業を拾いやすい。業績が悪化して株価が下がり、見かけの利回りだけ高くなった銘柄、いわゆる高配当の罠です。逆にSCHDやHDVは、利回りを少し犠牲にしてでも減配しにくい企業を選ぶ。どちらが正解という話ではなく、分配金の「出どころの確かさ」と「今の利回りの高さ」の交換条件だと思って見ています。

分配は4本とも年4回(四半期ごと)です。

日本から買うときの話

実務面で一番引っかかったのはSCHDです。人気の高いSCHDですが、日本での届出がないため、日本の証券会社から直接は買えません。代わりに、SCHDに投資する日本の投資信託が2本あります(楽天証券の「楽天・高配当株式・米国ファンド」、SBI証券の「SBI・S・米国高配当株式ファンド」)。信託報酬は年0.12%程度で、どちらも新NISAの成長投資枠の対象です。「SCHDが買いたい」と思ったら、実際にはこの投信経由になる。この点は見落としがちです。

VYM、HDV、SPYDは米国のETFとして買えます。楽天証券の新NISA(成長投資枠)の海外ETF保有残高ランキング(2026年9月)では、VYMが1位、SPYDが4位、HDVが6位に入っていて、実際に日本から買われている様子が見えます。証券会社ごとの取扱いやNISAの対象可否は銘柄ごとに違うので、買う前に各社の銘柄ページで確認してください。

税金は「手取り」で見ないとずれる

私が分配金を見るときに一番気にしているのは手取りです。米国のETFの分配金は、まず米国で10%源泉徴収されます(日米租税条約による軽減後の税率)。課税口座では、そこからさらに日本で20.315%がかかります。確定申告で外国税額控除を使えば二重課税分は一部調整できますが、手間は増えます。

NISAなら日本の税金はゼロになります。でも米国の10%はNISAでも引かれて、これは取り戻せません。つまり表面利回り4.71%のSPYDでも、NISAでの手取りベースはその9掛けが上限。利回りを比べるときは、最初から1割引いて考えるくらいがちょうどいいと思っています。

私の見方

甲乙は付けません。ただ、私のように手取りの配当を記録していくやり方だと、利回りの最大値よりも、分配が企業の利益から出ているか、減配しそうな銘柄が選定の段階で外れているかの方が、長い目では効いてきそうだなとは感じました。SPYDの割り切りの良さにも惹かれる部分はあります。金利が下がる局面でREITの比率の高さがどう出るかは、見ていて面白いところです。

原資がオプションのプレミアムになるカバードコール型(QYLD、JEPIなど)については、別記事に分けました。利回りだけ見れば10%前後と段違いに高いのに、原資は企業の配当ではありません。その違いが分かると、高配当ETFの見え方がだいぶ変わります。

※この記事は個人の調査記録です。特定の商品の購入を勧めるものではありません。数字は2026年10月24日時点の調査に基づき、利回り等の出典は運用会社の公式資料と主要な公開情報です。HDVのSEC利回りは公式ページで直接確認できていないため、第三者掲載値であることを明記しています。

主な出典:Schwab、Vanguard、BlackRock(iShares)、State Streetの各公式資料、楽天証券プレスリリース(2024年9月17日)、ザイ・オンライン、@DIME(いずれも2026年10月24日に確認)